木の家|木の現しか隠しか? 2/2

■現し木造=真壁工法の特色
①すべて末口まで角材で、超仕上げなど製材工程が入ります。節があれば、使う面の工夫が要ります。補強金物は見えないような配慮します。
②柱・梁で区切られる壁が小さく、下地から施工の手間がかかります。左官仕上げやクロス貼りなど端部の処理にも手間がかかります。
③柱・梁が表に出ることで、保温性・畜熱性や吸放湿性を活かせ、室内環境の安定に寄与します。木肌を楽しめる一方、ややうるさく感じるかも知れません。間仕切り壁を大壁にするなどして、大きな壁を交えます。
④構造材が屋内に露出し、含水率が増すことを防ぎます。

■隠し木造=大壁工法の特色
①作る側は大壁とする一番の理由は、材を安くできるからです。構造材が見えないということは、節の多い材・ノタ付き(耳付き)(丸太の皮部分が付く)・クセのある材など安い部材が用います。資源の有効利用であり、強度は確保されているのでOKですが、建築主に見られたくない裏方です。
②作る側のもう一つの大きな理由は、施工費です。柱と梁で区切られる壁毎に施工するには手間がかかります。一気に大きな面とするのがスピーディーで、走れるのです。また、電気配線など設備も柱と仕上げ材の間に隙間があるのが、やりやすく手間が省けます。
③建築主からみると、大きな壁が一色で実現できます。家具・調度品などインテリアなどに好都合かも知れません。ハウスメーカーのCMや雑誌に登場するすっきりした壁の影響が大きいのでしょう。
④木がまったく見えなく、木の特徴である吸放湿性や保温・蓄熱性が活かされなく、木肌を楽しめません。
⑤日本には風土的な湿気の多さとその季節的な変化があり、屋内には呼気など生活から発生する湿気があります。構造材はどこかで乾燥させる必要があります。外部・内部とも覆ってしまうのは、構造材の含水率を高める恐れがあります。

■隠し木造のまとめ
現在、大壁工法が主流です。ハウスメーカーの家、2×4の家、建売り住宅、多くのビルダーの家が採用しています。名ばかりの木造で、構造材として安い、施工が早いというコストダウンの手段から選ばれています。木の文化とか云々は、空々しい宣伝文言です。一度内外覆われた構造材は、壊すまでどうなっているか確かめようがありません。

■日本の木の家としての姿・・・現しが望ましい
A 木は乾燥が大切
木は、乾燥状態ほど強度が増します。木は、湿潤状態では腐朽菌や白アリを呼びます。木は、動く空気によって乾燥を保ちます。耐久性を見える状態で確認できます。
B 木の良さに寄り添う
120~150㎡の住宅で25~30m3の木を使います。構造材はおよそ60%です。
①木は吸放湿性に優れる・・・屋内の温湿度の調整を助けてくれます。
②木は保温。蓄熱性に優れる・・・高断熱の家でも夏や冬に窓を思いっきり開けたとき、屋内の蓄熱性の良さはすぐに元の状態を回復します。
C エイジングを楽しむ
一本ごとに違う木肌、木目、節。堅さと柔らかさの同居。時間が経ち焼けて益々味わいを醸し出す色。拭いて、磨いて、其々の風情。ともに永くそばにあります。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング