木の家|構造材の材種

■木造と非木造
木造住宅って、木が主体なことはわかります。木造住宅と非木造住宅の違いは、主要構造体が木であるか、どうかです。基礎は、今日ではどれも鉄筋コンクリート造です。基礎から上の構造が、木であれば木造、鉄骨・鉄筋コンクリートなどであれば非木造です。下地や仕上げ材に木を使うことは、どの住宅にもあります。
構造体は、そのまま見せる場合と、縁の下の力持ちとして隠す場合があります。木造住宅では民家に見られるように長い間、特に柱はそのまま仕上げにもなってきました。鉄骨や鉄筋コンクリートは、ほとんど化粧をして隠してきました。コンクリート打放し仕上げといって、好んで材を見せる場合もありますが。
■材の地域性
住宅の構造体としての木材は、大きくて重いものです。昔は地域で算出する材に限られ、地産地消が普通でした。一方で山から平野部には川が利用され、筏を組んで下流に流され、船で大市場にも送られました。ダムがあちこちにでき、トラック運送が一般的になると、大都市めざして全国の産地から流通しています。
太平洋戦争後、伐採が容易な山は禿山となり、材木は不足しました。植林は進みましたがしばらく手頃な材は少なく、特に大きな材が必要な梁材は輸入に頼りました。
以下の述べる樹種は一般的なもので、地域特有の材利用があります。例えば長野県や北海道では、特産のカラマツの活用が図られています。
■土台の材種
水・湿気に強く、耐久性のある材が求められます。桧・ヒバを使う場合が多く、伝統的には栗・ケヤキも使われています。特に芯持ち材が優れています。これらは、白アリ駆除材を必要としません。また市場には米栂の防腐薬剤加圧注入材がありますが、避けるのが賢明です。特に外断熱で土間下を屋内とする場合は使用しません。プレカット加工のローコストの建売りやハウスメーカーが使用します。輸入材なら、米ヒバでしょうか。
■柱の材種
柱材には、全国的に桧が多く、地方によっては杉が使われます。人工林の生育の浅い時には、米栂・スプルースなど輸入材が使われました。
桧・杉は、通直性がよく、肌・木目がきれいです。東海地方では、柱はまず桧です。木曽桧が有名です(伊勢神宮の用材など)が、民間では東濃桧が人気です。やや橙色がかった黄色に青い筋が入ったものや年輪の詰まったものが極上とされます。杉は、桧より垂直な目が強く、時間とともに味わい深くなります。
大壁造として柱をまったく見せない(柱が見えても化粧付柱)場合、コスト優先で四方節ありの1等・2等材になります。
真壁造として柱を見せる場合、見た目にどの程度節があるかによって等級があります。無節・上小節・小節、生き節かに死に節か、どの角もピン角か上方に丸味を帯びているか、また4面のうち何面が無節か節付かによって評価が違います。裏方には節があっても、普段見える面は、節が小さく少ないように配慮します。四方無地は、高価です。
大黒柱は、今日ほとんど使われません。民家では四方からの梁・桁を受け、大屋根を支えるために大きな大黒柱がありました。ケヤキなど特別な材種も重宝されました。個人的には家あるいは森の象徴性として、大きなサイズの丸太や角柱をよく使います。■床梁・胴差の材種
曲げ強度が強い赤松が多用されてきました。小屋裏では、松丸太がよく見られました。ところが、松くい虫による松枯れが発生し、関東以南の中低地では深刻な被害を受け、東北地方に拡がっています(近年、松くい虫に強い新種の松を開発・植林)。現在、赤松を望めば、東北地方からの移入になります。この間、材の通直性・サイズ・コストの面から米松が大きく普及しました。アメリカの国策で輸出がコントロールされ、日本では中国木材一社が流通を手掛けています。木目は通直に揃ったものから、節が目立ちしばらくすると割れが出るものまで幅があります。
最近、国産の材として杉が採用されています。質を一定にする集成材やそのまま乾燥材として流通しています。松に比べ、梁成を大きくします。やや奥深い高樹齢の山地や60年近く経た人工林から、大きな杉が産出しています。梁・桁・屋根裏を現しにする場合は、杉は適材です。■他のの構造材
①大引き・根太(根太レスも普及): 湿気に強いもので、桧・ヒバ、次いで杉・米松
②桁・小屋梁・登り梁: 杉、赤松、米松
③母屋・垂木: 桧、杉、米松

現在、山を歩く、あるいはゆっくり車を走らせると、人工植林された山が元気ありません。杉木立は鬱蒼とし、幹は細く、足元に日が届かず、赤茶けています。間伐がまったく進んでいません。樹間が空けば、光が届き、下草が生えるのですが。手が行き届いた林と比べると、気持ちまでが暗澹とします。間伐し、枝払いし、搬出しても、利用価値が低く、材価が大変安い。バイオマスに回すにしても、労苦が多すぎます。山が荒れれば、山に保守できず、鉄砲水が出て、災害の恐れが高まり、何十年か先の材木の減少になります。
難しい課題です。急傾斜でも間伐・伐採・搬出できるロボットの開発(誰が?費用負担は?)、補助する搬出車の開発と見合う林道の敷設など、山側の宿題です。
エンド・ユーザーとしては、時に山をゆっくり走り樹間や根元を見る、国産材を少しで多く使うことだと思います。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング