旅|大井川

■大井川
鉄道に乗って見ようと、大井川を遡りました。江戸時代、防衛上橋を架けなかった川に選ばれたのは、山中奥まで(千頭の上まで)川幅が広く砂利の河原で、集団渡河の監視しやすかったのでしょう。普通電車・汽車が走る大井川鉄道は千頭まで、そこから先は昔の森林鉄道を利用した南アルプスあぷとラインになり、ディーゼル機関車が後押しします。川の反対側の山からの丸太搬出は、川流ししたのでしょうか。乗り換えの千頭は、汽車が出入り。駅近くの“音戯の郷”は、ゆとりの遊びの館です。

■島田市博物館
島田宿は、東海道で4番目(大津→駿府の府中、熱田の宮宿→)の人口を擁していたとか。川越しや川留めに旅人が膨らみ、支える街になったものかと。常設展には「島田髷」が展示。遊女たちが結い始めたのがしだいに一般化したもの、といわれる。舞妓さんとか和式の結婚式ぐらいしかお目にかかれない、髷の伝番拠点でした。
企画展では、川越しをテーマとする浮世絵展でした。北斎、広重、国芳、歌麿など著名な絵師が描いています。市と島田信用金庫の所蔵品です。細かな色合わせが凄い。
別館は、旧大地主の館が当時を偲ばせます。南の庭をL型に囲み、北庭には大きな樹齢数百年の槇が立派。明治中期の建物とか。台所は洋風っぽく素敵です。裏の蔵跡には、海野光弘版画記念館が建ちます。没後40年にあたる今年は「海野光弘 人生の詩」をテーマに展示中。やや暗い背景に明るい色遣いに目を奪われます。
人口10万弱。通りすがりにみる街は、やや元気に欠けるように見えました。雨で訪れなかった蓬莱橋(世界一の長さを誇る木造歩道橋)など資産は少なからずあります。■山の中腹の茶店
2018年3月オープンの“ふじのくに茶の都ミュージアム”。元は、「旧島田市お茶の郷」。改修整備です。静岡県の茶施設が島田にあるとは。立地する牧之原台地が日本一の大茶園のようです。立派な施設です。あいにくの雨天で富士山は眺望できず。
隣接して茶室「縦目楼」があります。小堀遠州(秀吉・家康に仕えた大名、茶人、建築家、作庭家、書家)が手掛けた京にあった茶室と庭園を復元したものです。茶屋「向峯居」、書院「対雲閣」、鎖の間「臨水亭」、数寄屋「友賢庵」をもち、池泉回遊式庭園に建ちます。“茶”と武家官位の“遠江守”の縁ですか。
小堀遠州は近江の出身ですが、遠江にも足を運んでいます。2017年の大河ドラマ「おんな城主直虎」に登場する遠州の古刹・次郎法師(井伊直虎)・井伊家菩提寺=龍潭寺庭園です。江戸時代初期に本堂北庭として築かれた池泉鑑賞式庭園。17年7月に訪れました。
この時代のアーティストは、守備範囲が広く、健脚でエネルギッシュだったのですね。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング