奴隷住宅か解放住宅か|奴隷マンション-タワマン/試行錯誤状態

■日本でタワマンとは
日本で超高層マンションは、20階建て以上、高さ58mを超えるものを指すようです。1976年に21階建て・高66mの分譲マンションが最初になり、1997年の規制緩和以降、急増しました。現在の最高層は54階建・高さ209mで、さらに高層化が計画されています。

■タワマンの造り
軽量化・耐火性・経済性から、柱・梁・床を鉄筋コンクリート、外壁を軽量気泡コンクリートパネル、戸境壁をボード張りの乾式工法が採用されています。超高速エレベータ・高圧ポンプ直送給水設備、防災面から非常用エレベータ・階段、消防設備・非常用電源が必須です。住戸回りだけでなく、付帯設備が大きな負担になります。
高層階では、強い風と落下防止のためバルコニーを設けることは少なく、洗濯物は室内干しが多く、開閉できる窓は小さくなります。上下階の床のコンクリートの厚みは、中高層マンションに比べて薄く、また戸境壁が非コンクリートのため、住戸間の遮音は難しくなります。厚いカーペットの上で音に気を使うことになります。気密性が高く空模様がわかりづらく、五感で感じることが少なくなります。
玄関ホールから住戸への移動は、エレベータ使用となります。朝のラッシュ時には待ち時間が長くなり、5分を超えることもあります。幼児や小学低学年では、親の付き添いが要り、外遊びがおっくうになります。
長期の維持管理には、高圧高密の雨にさらされる外壁の防水性能の修繕(約15年毎)、特殊設備・施設の更新(約30年毎)が必要になります。■タワマンの敵―風による揺れ
風は高くなるほど強くなります。建物と高さの関係を、新しい基準は2000年に制定されましたが、シンプルな建築基準法の旧法(1950年~)では速度圧=60√h(hは高さ)、超高層建築の登場で1981年には速度圧=120・4√hを導入しました。地上2mに比べ、高さ100mのタワマンでは4.5倍、高さ200mでは5.3倍の速度圧になります。地上でのそよ風が、大強風、全強風になる感じですか。風は絶えず強弱が変化し、超高層では僅かな揺れが生じる可能性があります。

■タワマンの敵-長周期地震動による揺れ
地震で発生する約2~20秒の長い周期で揺れる動きを長周期地震動と呼びます(ガタガラと小刻みに揺れる0.5~2秒のものを短周期という)。鉄筋コンクリート造の固有周期は、略算式 0.02 × 建物の高さ(m)で求められます。100mの超高層では2秒、200mの超高層では4秒になります。超高層マンションによく採用される「制振構造」「免震構造」は、短周期地震動には強いのですが、長周期地震動には未知です。
長周期振動には、いくつか想定されます。大規模地震では震源が遠くても超高層部が揺れ幅大きく長い時間揺れます。直下型地震では地盤構造境界で強い長周期振動が発生する恐れがあります。また軟地盤構造(多くの平野が該当)では増幅して効率的に伝わり、中小地震でも揺れを感じます。
2011年に日本及びその周辺で起こったマグニチュード5.0以上の地震の数は、781回あります。超高層マンションの頂部では、地上では感じられなくても揺れがあると想定されます。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング