奴隷住宅か解放住宅か|奴隷マンション-タワマン/指摘される問題

■健康不安
高層階になるほど、流産、高血圧、神経症、喘息症状、低体温症(幼稚園児)、耳鳴りや目まい、不眠症、関節痛・腰痛などを訴える人が多い、といわれます。またストレスを感じ、うつ病の発症、不登校・や引きこもり、自殺願望・対人恐怖症、子どものいじめなどなど、心身に及ぶ健康への不安が指摘されています。
原因は、揺れ、気圧変化、密室的な空間が挙げられます。揺れは、風と長周期地震動によります。気圧は100mごとに10ヘクトパスカル低下しますが、1気圧=1,013ヘクトパスカルで1%の変化です。エレベータによる急激な変化も多くは気圧制御機能付きで問題は少なそうですが、長期の影響はわかりません。超高速エレベータ昇降のプラス・マイナスの加速度Gの影響調査は聞きませんが、胎児は感じやすいかも知れません。密室的な空間は、風を肌で感じ、鳥・虫の声や雨音といった自然の音が聞こえないことから、精神的な障害に陥ることが想定されます。
これらに対し、欧米では規制の指摘があります。
・オランダでは育児世帯の8階以上への入居を禁止
・イギリスでは妊婦・育児世帯の4階以上への入居を禁止
・フランスではそもそも高層マンションを建てないよう制限
・アメリカのワシントンやサンフランシスコではタワーマンションの建設を制限

■子育てに向かない
エレベータが外への唯一の出入り手段の高層階の幼児・小学低学年性は、外出の頻度が減り、子どもの発育に影響します。幼児の基本的生活習慣の自立を遅らせる一因になっている、と指摘されます。また登園拒否や他の子ども達と仲良くできないなどの「問題行動」を起こす幼児が多くなる、という指摘もあります。親子の過剰密着をうかがわせ、一方学力は高い傾向があります。が、遠からず解消されるようです。
高層階の子どもほど外で遊ばせることが望まれます。

■階数による入居者層の違い
住宅地はニュータウンのように単一に近い家族タイプより、いろいろな家族タイプの混合の方が成熟感あり住みやすいものです。タワマンでは唯一無二の売りが“眺望”である以上、眺望のいい上の方ほど価格が高い。階数による違いも中高層マンションより大きい。階数がそのまま所得水準になる傾向があります。底部は中間層、頂部は富裕層になります。これは、そのまま階層差になりやすいです。
まず気持ちの上で邸層部は羨望とやっかみが幾分混ざり、高層部は見下すようになります。経済的にも下層部は管理費・修繕積立金を支払うのがギリギリ、高層部は余裕です。プールなど付帯共用施設の使い方にも差がでます。長期修繕に対しても、できるだけ出費を抑えたい下層部と必要なものは出して行こうとする高層部は対立しがちになります。
1000戸近いコミュニティとしては、内に閉じた“ムラ社会”状態です。なにかと噂話となり、窮屈な感じが想像できます。

■長期修繕は可能か?
国交省の指針:タワマンに必要な修繕積立金の目安として「月206円/㎡」という指針。これを1998年竣工・55階・185m・650戸のタワマンについて資産してみます。平均住戸規模を75㎡(?)として、月々15,450円修繕積立金(管理費・駐車料別)、全戸15年で約18億円になります。タワマンの戸当り大規模修繕費250万とすれば16.25億円になり、第1回目はクリアできそうです。但し、指針通り積立ているマンションは少ないといわれます。30年ほど経過する第2回目の修繕では、工事費のアップとタワマン特有の設備の更新で、積立金不足が予想されます。
管理組合での合意について、不安があります。修繕積立金で工事をまかなえればいいのですが、不足の場合には低層部と高層部での合意が難しくなります。どこまで修繕するのか、追加の負担割合など問題になるでしょう。
また、階あたり1か月とされる工期も入居者は負担を感じるでしょう。60階建てだと、5年の歳月がかかります。

■公共施設の一時的な負担増と資産価値の動向
短期集中の世帯増・人口増は、公共施設の需要増になります。保育園・小中学校不足、駅舎の容量不足が予想されます。固定資産税・住民税で自治体は潤いますが、負担も大きなものです。家族の成長サイクルが終わり、入居者の新陳代謝がないと、次には公共施設が余ってきます。
また建物の維持更新が上手くいかず、入居者の新陳代謝につまずけば、ニュータウンと同じように資産価値が大幅に下り、存続が難しくなります。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング