木の家|”おもてなし”には

■住まいの交流
住まいは、家族の暮らしの場です。家族中心につくるのは、当然です。でも、少し別の見方をしてみましょう。子どもの友だち、ママ友、オヤジの仕事仲間、親せきなどと家の行き来は、よくあります。さらに世界との交流が盛んになり、外国人が訪れる機会が増します。狭いとか片づいていないという理由で、あるいはプライバシーに触れられたくない理由で、家づきあいを敬遠する向きもあります。小きれいなゲストハウスを持つ人は、稀です。どんな住まいだと気軽に客人を招き、”おもてなし”できるでしょうか。

■家の風景
家と家の交流、それは家族とその暮らしの交わりです。家族の雰囲気や文化が醸し出ます。道路から見える佇まい・形、門扉から玄関への小径、玄関ポーチの待ちの場、玄関ホールの出迎え、居間、食堂、台所へのつながり、階段や吹抜けから覗く2階の様子など、感じられるものはいっぱいです。素材や仕上がり、家具や家電や小物などインテリア、生活の様子が一度に入ってきます。静謐ならば、ゆっくり目を移動します。雑然としていれば目のやりどころに困り、当り障りのないものに目をやります。

■弾ける空間
ここで客人をもてなす家の演出は、家具や季節のしつらえです。ブランド品でなくても、選ばれた家具や調度品が住まいを主張します。庭の木や草花、花瓶の花が迎えます。
が、一番のおもてなしは、空間そのもです。空間のつくりです。広くなくても平面的にも立体的の広がりのある伸びやかな空間です。棟まで届く高さがあります。差し込む陽光と陰影の表情が豊かです。視線があちこちに誘われ、客人の気持ちが高揚します。夕方からは深い闇が訪れ、灯りの元に親密さが増します。早朝には空間が徐々に白け、日の出とともに朝が弾けます。ゆったりしながら、お茶・コーヒーを楽しみます。

■無国籍な空間か、木の伝統的な空間か
さて、空間のつくりは、どんなのが印象を強くするでしょうか。住む人の好みが第一で、それを伝えるのがいいのです。が、世界との交流を前提とすると、話が違ってきます。空間に日本の伝統が表現されると、明らかに外国人に感銘を与えます。無国籍な空間の表情より、木の文化的背景がきっちり出る空間が望ましいでしょう。
日本建築の、特に住宅の特徴は、民家にあります。木の構造材が力強く支え、土壁・しっくい壁に障子格子が特徴的です。これからの住宅は、高気密高断熱していきます。それでも、構造材を素直に表に出すつくりは容易にできます。柱、大黒柱、大きな梁が明確に空間を印象づけます。
住まいの交流は、文化と文化の出会いです。木の文化を醸し出す住まいことが、素直で記憶に残る”おもてなし”になります。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング