子育て住宅|可能性を拡げる家づくり/②深い夜を過ごす

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■深い夜をすごす・・・・くつろぐ
休みの日に夕日を浴びながら、そして闇が濃くなる一時をもの思いに過ごす。家族みんなでの夕食・団欒を楽しむ。静けさが深まる夜を味わう。そして睡眠につく。
夜の住まいは、くつろぎ休息し心身をリフレッシュする場です。家族の団欒でことばをかわし、ほっとして緩む時間はとても大切です。このとき大きな空間があり、暗闇につつまれて、小さな灯りをもとに過ごします。天井が高いほど、暗闇が深くなります。

■暗闇高価・・・灯りを落として憩う
「暗闇効果」と呼ばれる心理学の用語があります。暗闇では、不安感や秘密性があって、一体感を生み、こころを開きやすくなる・親密性が増すという心理傾向をさします。闇が距離の障害をはずします。星空が近くに見えます。キャンプファイヤーや花火大会が一体感をもたらします。人と人の間の壁が消えるように感じます。
住まいにあっても、薄暗さ・暗闇は大事です。うち解けた話が弾み、悩みとか秘密を聞く雰囲気があります。また寝る前の一時、ゆったりくつろぐ時、もの思いにゆるむ時は、伸びやかな落ち着きが欲しいものです。暗闇につつまれたロウソクの灯りを傍らに、一人で、二人で、家族で楽しみます。特に小屋裏までの吹き抜けがつくる深い闇は魅力的です。

■快適な睡眠を得る
朝の光でセロトニンが分泌され、比例して約15時間後に神経伝達物質メラトニンが分泌され眠気が生じます。良質な眠りは、身体の健康維持と脳の働きにとても重要です。脳はすべてが眠るわけではありません。デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という脳の基底状態で盛んに活動しています。脳の記憶系やほかのシステムを統括し調整しているようです。そして夢をみます。体験を整理して記憶を定着したり、辛いことや哀しみを癒したり、私たちの世界観と自己イメージを更新している、といわれます。不適切な眠りは、イライラ・不安をもたらし病気のリスクを高めます。認知症予防や美容のためにも適切な睡眠は大切です。
くつろぎ、快眠を得るには、①静けさ、②適度な温度、③適度な湿度、④光のコントロ-ルが大切です。寝る前には強い光源から離れ、灯りを落し、真っ暗な状態で休みます。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング