子育て住宅|変化の少ない家なら/②深い夜を過ごす

□プロローグ(共通)

天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。

自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

 

■天井が2m40cmほどで、大きな空間がない場合

平面的な拡がりだけで大きな空間がない場合、2つの工夫があります。一つは、照明です。天井付のシーリングなら器具が少なく均等に明るくできます。が、明るさに濃淡をつけます。食卓や新聞・雑誌を読むコーナーは明るく、他はブラケットやスポット・ダウンライトで雰囲気をつくります。陰影が奥行きを増し、広さ・高さを感じます。電求色のLEDを多用します。やや明るさを落した背景に、温かな明るく拡がる輪が落ち着きと親しみをもたらします。食事やお茶の団欒は、一つの笠の灯がいいですね。

もう一つは、椅子座中心の暮らしに時々床座で過ごします。目の高さが40~50cm下がり、天井が高くなります。「暗闇効果」がいくらかでも増します。床に座り込んでテーブルで食事・お茶をします。週末にローソクの灯で家族が囲むのも魅力です。いつもと違う話題が湧くかもしれません。

 

■夜の外を感じたいなら

窓から月や星、雲や風の様子がわかり辛ければ、外に出向きます。庭、バルコニー、街路、近くの公園に。夜風に当り、静まりかけた街のシルエットを感じて、夜空を見上げます。事前に下調べをします。東京天文台暦計算質 http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/ で、“今日のほしぞら“を見ます。各地の星空の様子をチェックできます。時間ごとの動きもわかります。子どもたちと一緒に月の形状や主要な星をみます。季節ごとの外気を感じながら、遥かな宇宙を眺めます。ひょっとしたら、星座オタクや天文学者になるかも知れません。大きな気持ち・スケール感が芽生えるといですね。

■快適な睡眠と夢を見る

朝のセロトニン、昼間の運動、癒しのお風呂、夜のメラトニン、体温が下がりはじめるころ、睡眠につきます。静けさ・適度な温度・光のコントロールが大事ですが、容積の小さな天井の低い部屋では、特に湿度に気をつけます。「不感蒸泄」という呼気と皮膚から発する水分があります。床に就く8時間で300mlになります。部屋が湿っぽく、結露をもたらします。換気には十分配慮します。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング