子育て住宅|変化の少ない家なら/③五感を誘う

□プロローグ(共通)
 天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
 自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■内向きなつくり
 狭い庭しか採れない住宅や外部の環境に関心の薄い住宅では、屋内だけの暮らしになりがちです。いつもテレビ画面・BGMが中心の生活は、情報刺激が偏ります。垂直方向の大きな変化がないので、小さなことの積み重ねになります。意識的に自然の変化を室内外にもたらすことと、外に出て周りの環境を楽しむようにします。
■陽射しと陰影
 高さ2mの窓から日が入り、届く範囲や向きは日々変化します。カーテンで遮蔽することなく、レースなどで光の強さを調節しながら、導入します。日の先に鉢植えを移動して、動きを強調するのもいいかも知れません。陽の強さを体感したり、少し離れて陽射しと陰影と眺める時間があっていいです。
■窓際に生活の重点を
 窓から離れると、外の様子がほほ横方向しかわかりません。庭先や雲・月星の動きが捉えにくくなります。部屋の真ん中の生活から、窓寄りにします。窓際で立ったり・座ったり、横向けば窓外、というように。家具のレイアウトで雰囲気がかわります。掃出し窓よりに対面テーブル・椅子があるのもいいです。
■すぐに外に出られる
 居間・食堂からすぐにテラス・ウッドデッキ・バルコニーに出られるようにする。足元に草花・見上げれば木々・青空が見える。春の新緑・夏の樹陰・秋の紅葉・冬枯れの落葉樹、四季の花々、雨に濡れる庭。青空に流れる雲、月の満ち欠けに星の動き。身を乗り出して体感する家族の習慣にします。
■草花を身近に
 一番近くで緑を楽しむなら、観葉植物ですか。風に揺られる姿に癒されます。新しい葉などの更新は、ゆっくりです。それより鉢植えの花は、香りを伴い季節を演じてくれます。花瓶の切り花も、居間・食堂に変化をもたらします。テラス・ウッドデッキのプランターの草花も、楽しく育てられます。
■外に出る
 敷地から一歩出れば、視野がぐーんと広がります。朝夕の散歩、通勤通学の行き帰りには、近所の垣根・生垣、庭の景色の移り変わりを見て取れます。朝日・夕日の変化に伴い、街の表情が豊かです。空・雲・夜空の千変万化です。
■内装のリフォーム時には
 直に触れる床・壁は、自然素材にします。無垢材の床フローリング、漆喰や珪藻土などの塗り壁にします。感触が季節ごとに違います。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング