子育て住宅|可能性を拡げる家づくり/④ことばと個人の世界が拡がる

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■話が弾み、個を育む
ことばの役割は、コミュニケーションと考える手段があります。情報交換と自己表現です。社会性と個の成長に不可欠です。また、ことばは学力の基礎です。ことばは、住まいにあって家族が育みます。いつも家族が顔を合わせ、触れ合いの機会を多くして、気遣い、励まし合い、お互いに刺激し合って暮らすことが大事になります。住まいは身体の表現やことばの世界と個人の自立を育む大切な空間です。
ことばは、母親とのスキンシップと微笑み返しから始まります。目の高さを合せながら、お話したり聞いたりして、ことばのシャワーで獲得していきます。いろいろな場・機会をつくるようにします。

■住まいは世界を拡げる
家族は、語らいで絆を高めていきます。コミュニケーションで心や考えや意思を通わせ、暮らしを楽しみ、遊び・学び、成長します。家族は、お互いに表情やことばで健康や身の回りの様子に気遣います。話すこと・聞くことで安心でき、落ち込んだとき・困ったときにはアドバイスができます。いつでも様子が感じられ、顔を合わせ、ことばをかけられる住まいはとても重要です。そして、住まいの安全・安心をベースに外の世界へ遊びに・学びに・仕事に向かいます。

■空間のつくり
家族が顔を合わせ、触れ合い、話が弾み、一人一人を大切にする場・空間です。
①間の採り方・・・「もの」や「こと」が間に入れる。「もの」とは、コーヒーとかお茶、生け花などです。「こと」とは、食事など飲食、将棋・トランプ他ゲーム、誕生日などお祝い・イベントなどです。
②坐の位置関係・・・“対面”より“隣り合う”、さらに“L字に隣り合う”ようにする。
③話をする時の目の高さ・・・“立つ”“椅子座”“床座”“横臥”の目線を合わせる。床を下げたコーナーを設けたり、畳の茶の間を小上りにするのも方法です。
④話の機会を増やす・・・共に過ごす居間・食堂・台所、すれ違う階段・廊下、視線・気配を感じる吹抜けがことばをかわす場です。家族みんなが集まる空間と、安心感がある自分の居場所と、その間のつながり空間を開いて、時に閉じるようにします。横方向の重なりと共に、立体的な重なりで、声掛け・気遣いの機会が増大します。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング