子育て住宅|変化の少ない家なら/④ことばと個人の世界が拡がる

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
 自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■話が弾み・個を育むには、厚みがない
 横並びに部屋がある平屋・マンション、その2階建てには、話しかけ・気配の立体的な重なりがありません。みんなが集まる居間・食堂と個室の関係しかなく、子どもの成長に合わせた段階的なつながりが希薄です。ことばの拡がりが横方向しかないのは、残念です。家族間のふれ合いを濃密にしながら、時には個の時間をとれるようにします。親の働きかけが、より大切になります。

■間取り変更が困難なら、家具などインテリアの工夫
 ことばを交わす機会・時間が減る大きな要因は、テレビ・テレビゲーム・スマホです。乳幼児の相手をさせるとか、遊びがテレビゲームやスマホに偏るなど、一人時間が増えています。食堂にテレビを置くとか、テレビが居間の主役なのは、話す機会を奪ってしまいがちです。みんなで共に楽しむ時間、一人で休む時間を意識して家具レイアウトをします。
 また、居間・食堂がみんなの場でありながら、子どもが遊び・勉強する場でもあります。お母さんが食事の支度をしながら・家事をしながら、お父さんが新聞を読んだり・遅い食事をしながら、傍らで子どもが宿題なんかをします。居間・食堂が子どもの遊び場であり、勉強コーナーの時期があります。居間・食堂が、おもちゃや雑誌・本・文具で占領されることもあります。大きな収納棚があると出すにも片づけるのにも便利です。そこで、いろいろな話題が出て、ことばの遣り取りがあります。

■家具のレイアウト例
①間の採り方・・・家具に「もの」や「こと」が間に入ることを想定します。「もの」とは、コーヒーとかお茶、生け花などです。「こと」とは、食事など飲食、将棋・トランプ他ゲーム、誕生日などお祝い・イベントなどです。
②座る位置関係・・・“対面”より“隣り合う”、さらに“L字に隣り合う”ようにソファや椅子を設置します。
③話をする時の目の高さ・・・“立つ”“椅子座”“床座”“横臥”の目線を合わせるように家具を選びます。畳の小上りを設けるのも方法です。
④話の機会を増やす・・・食事やお茶といった団欒だけでなく、食事の支度、家事、遊び、ゲーム、宿題・勉強、読書、テレビ、ぼんやり、といった機会・時間を、みんなの空間で、重ね合わせるにします。家族が接する機会を多くして、安心感・声掛け・気遣いでことばのシャワーが増えます。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング