子育て住宅|変化の少ない家なら/⑥階段を居間吹抜けに

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■無理もなかった20世紀住宅
北海道や一部先進的な取り組みがありましたが、1999年の次世代省エネ基準から、ようやく高断熱高気密住宅となりました。断熱が十分でなく隙間風が多い住宅では、吹抜けを設けること自体が冒険でした。春から秋は気持ちよく暮らせるのですが、冬季は暖気が2階へ上がってしまい、1階は寒かったのです。吹抜けだけじゃなくて、階段も暖気を逃すので、居室から離され、廊下の延長にありました。間取りの上でも、コンパクトに急勾配で、北側の隅っこに追いやられました。階段を楽しむ雰囲気は、まずなかったのです。

■転機は高断熱高気密住宅
24時間常時換気が求められ、高断熱高気密の住宅になると、居間・食堂や2階ホールを吹抜けでつなぎ、空気の循環スペースにする動きとなりました。吹抜けに大きな天井扇を設けたり、ダクト換気扇で空気を撹拌すればOKです。温度の1階-2階の差がほとんどなく、一室扱いができます。換気は、まとめて空調換気扇が行います。
すると、もともと吹抜けの階段をその一部に設けるのが成行きです。さらに積極的に階段を居間吹抜けなど大きな空間に設け、動き・視線・気配などを楽しむ造りになります。
とはいえ、いまだに旧来の考え方の住宅が多いのです。

■階段が廊下の延長上や隅っこにあるなら、外へ
リフォームは、構造まで影響して難しく、やるとすれば大規模改修となります。住宅で楽しい垂直移動ができないなら、外へ出るしかありません。
朝の散歩や軽い運動に近くの公園に出かけます。必ず階段やスロープがあります。親子してゲーム感覚で登ったり下がったりします。木々や空の様子を感じます。
また、お寺に出向くのもいいですね。本堂の前階段や鐘楼の段を上がり降りするのは、また違った感覚です。
休みの日には、家族や数家族で大きな公園や緑地に出かけます。スケールの違う階段や段差を駆けます。開放的な階段、樹陰の下の階段、長くうねった階段などいろいろ体験できます。
また街に出ると、違ったシーンがあります。役所、図書館、美術館、博物館などがおしゃれになって、大きな吹抜けに階段やエレベータがあります。商業施設やショッピング・モールには、何層にもわたる吹抜けやアトリウムがあり、階段・エレベータが縦横にあります。ゆっくり景色や人の動きを全身で受け止めてみましょう。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング