子育て住宅|可能性を拡げる家づくり/⑦伸びやかな吹き抜けがある

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■吹き抜けって?
家の吹き抜けは、階以上の高さの天井をもち、上部にオープンな状態です。江戸末まで家はほぼ平屋でしたから、吹き抜けは天井のない屋根裏までの高さでした。明治以降2階建ての家が増えると、2階の床がない高い天井が登場しました。
吹き抜けは、高さの違う空間がいくつもつながる伸びやかな状態が良さそうです。抜き抜けにもたらされる情報(光と影、風、景色、人の気配など)は、いっぱいです。視線はあちこち誘われます。目が情景を追いかけます。空間認識が繰り返し新たになります。体で感じる微差もあります。好奇心旺盛な脳には、魅力的です。

■吹き抜けの良さ
①垂直な拡がり・・・横・左右の広さだけでなく、縦・上下の拡がりは伸びやかで開放的です。すくっと立ち上がる感じがあり、上向き感があり、気持ちが大きくなります。思わず背伸びしたくなります。
②高みからの光が魅力を増す・・・頭上に拡がる空間に光が差し込む時、思わず見上げます。吹き抜けに高窓やトップライトから光が溢れると、雰囲気が一段と豊かになります。高みへの憧れや畏怖を感じ、空や宇宙とのつながりを思います。より遠くが見える気がし、彼方への眼差しや視野が拡がります。
③暗闇の深さ・・・夕暮れになると、部屋の隅から暗くなり、天井から闇が降りてきます。高い天井ほど暗闇が深くなり、「暗闇効果」が大きくなります。深い薄暗さの下で手元の灯りがぬくもりを誘い、落ち着いた話が弾みます。また、空間が薄明に輪郭を現し、暗闇が追いやられ、徐々に白み始める夜明けも魅力的です。
④家族の一体感をもたらす・・・「大きな屋根の下」の家族の一体感は、吹き抜けで実感できます。1・2階が一つの空間で結ばれ、いつでも一つに感じられます。住まいの中心となり、家族が集い共に時を過ごす空間にぴったりです。
⑤感覚刺激が多い・・・空間の変化は五感を介して身体制御や空間認識と連動し、脳は状況をいち早く掴もうとします。いろいろな空間情報があることは、脳にとって刺激となります。天井高さと吹き抜け高さのいくつもの変化があると、視線の移動が横に加えて縦方向の動きが活発になります。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング