子育て住宅|変化の少ない家なら/⑦伸びやかな吹き抜けがある

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■吹き抜けがない
「吹き抜け」は無駄だ、冬寒くて仕方がないとか、いわれてきました。贅沢物、お荷物と思われ、吹き抜けのある住宅は全体では稀でした。
しかしながら、吹き抜けのもつ解放感、光の交錯、屋根の下の一体感など魅力は、いっぱいでした。さらに、深い闇で親密な空間となります。視線が上下に大きく移り、光・影や景色の変化が多様な脳刺激となります。吹き抜けは、脳の成長に不可欠です。
吹き抜けがないとしたら、住まいに大きな期待を寄せなかったから、何も知らなかったから、余裕がなかったから、・・・まぁ、諦めますか?

■それでも住宅内でできること
乳幼児期の1・2年なら、主な生活をフロアにすれば、天井が高く感じられます。おもちゃ、ソファ・椅子、テーブル、収納家具と順次高さを捉えていきます。
その先は、掃き出し窓近く、縁側、ベランダ、濡れ縁、ウッドデッキ辺りです。軒高さや、庭木の行程、隣家・雲・空の高さが目に入ります。直射日光を避けて、窓辺での生活を多くすることで、視線を移動し、風景の変化を感じます。時間的には、夜明けや日の入り時間が、多様な変化を楽しめます。

■外に出向く
住宅に吹き抜けがないとすれば、吹き抜けを持つ建築に出向き、身体をその場におきます。個人宅や企業は不可なので、公益・公共・商業施設が対象となります。
まず、お寺です。全国に75,000寺あるといわれ、コンビニの約55,000店よりおおいのです。多分早朝から夕方までオープンで、お堂には誰でもお参りできます。子ども連れで早朝静かな堂内を見渡します。神社も全国に81,000社ありあます。神社そのものには入れませんが、鎮守の森に護られた参道を行き来します。見上げるような木々と先の社や鳥居を遠望し、張りつめた空気の中、小鳥のさえずりを聴きます。刺激の多い環境です。

次に週末に意識して出かけます。新しい公共施設や商業施設へ。駅、図書館、美術館、博物館などには、大きな吹き抜けが多くなっています。百貨店など商業施設やショッピンセンターには、何層にも吹き抜けたアトリウムがあります。子どもと一緒に立ち止まって空間を、雰囲気を、音や匂いを、人の動きを見ます。

家族で旅に出かけるときは、旅先の建築をチェックしましょう。モダンな現代建築と民家・お寺など古い木造建築を目指してみましょう。遠くへの眼差しを養うことができます。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング