子育て住宅|可能性を拡げる家づくり/⑧家族が集い快を感じる

□プロローグ(共通)
天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■住まいの中心性
住まいには、中心性が欲しいです。家族みんなが一緒になって楽しみ、疲れやストレスを解消し、心身を再生したいものです。あるいは、一人・二人でたたずみ、もの思い、語る場があるといいです。いろいろな脳刺激があり、後々真っ先に記憶によみがえる場です。
広さ・高さがあり、間に装置・仕掛けがあって、変化情報の多い場です。太い大黒柱や見上げるような抜けた棟なども、印象強いです。

■かつての囲炉裏では
伝統的な民家では、屋内に囲炉裏やかまどを持っていました。囲炉裏は、煮炊き・灯り・暖房などの役を果たし、また暖気・煙が柴を乾燥し小屋裏そのものを燻してきました。
囲炉裏はいつも家族が集い囲む場で、五感を刺激する、暮らしの中心でした。その上部は、小屋裏の棟までつながる吹き抜け空間でした。今日からみると、1)煮炊き・食事、2)団欒、3)子育て・躾け、4)暖炉、5)照明、6)衣類乾燥、7)空気循環、8)材の乾燥・燻蒸、9)炎・煙・湯気・火の粉の舞い、10)高い吹き抜け、11)深い暗闇、といった多様性を持つほどです。

■これからの住まいでは
①炎を囲む食事・・・開閉自由な炉を組み込んだ食卓。庭に屋外炉。
②炎を囲む採暖・・・薪ストーブやペレット・ストーブ。少し薄暗い中、ゆらぐ炎が打ち解けた雰囲気をもたらします。子どもが火の暖かさ・熱さ・動き・強さを感じます。
③温かみのある灯り・・・白熱灯、蛍光灯やLEDの電球色の照明器具、間接照明。暗闇に浮かび上がる温かい灯りは、人を集め穏やかにします。
④棟までの高い吹き抜け・・・居間から2階へ、そして屋根裏の棟までの吹き抜け。視線が上へと導かれ、気持ちが前向きになります。夜には暗闇効果で親密さをもたらします。
⑤保温・蓄熱性・・・住まいの構造材・下地材・仕上げ材は、保温・蓄熱性に優れる木や土(土間・土壁・レンガなど焼き物)を多用するのが適しています。
⑥空気循環と木材乾燥・・・中間ダクトファンやセントラルダクト換気扇で、1・2階の温度差・湿度差をなくし、春・秋は、2階・屋根裏に上がる暖気を全体に攪拌します。
⑦上下の動きのある階段・・・連なる空間で多様な視線や空間の変化。動いて・見て・見られて楽しいものにしたいものです。
⑧彫り込み座卓・・・囲むという意味では、落ち着く雰囲気があります。
⑨囲炉裏そのもの・・・防火規制のない地域で、離れのゲストハウスや別荘などで。
⑩大黒柱・・・棟持ち柱として、象徴的にも設けます。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング