子育て住宅|変化の少ない家なら/⑧家族が集い快を感じる

□プロローグ(共通)
 天井高2m40cmほどの部屋が並ぶ総2階住宅やマンションで育つと、枠を超えられない、という共通点を持ちます。時代・社会の手の平で踊らされ、会社・組織や既成の価値観の従者になり、思いが、考えが、想像力が枠を超えるのは難しいのです。
 自由な発想で枠を超えられ“創造性”を育むには、住まいに伸びやかな空間、上下の動きや自然の移ろいを採り入れる、など多様な変化が要ります。“成長”を育む家は、個の可能性を拡げ、輝きの種子をもたらします。

■曖昧な中心性
 中小の部屋を並べただけの住宅、空間的にメリハリのない住宅、どこにでもありそうな特徴のない住宅、・・・。毎日の動きが錯綜する、食の中心の食堂や、テレビがどんと座る居間が生活の中心っぽいです。家族みんなが一緒になって楽しみ場です。お母さん、子ども、お父さん居場所が中心にもなります。
 平面的な拡がり・高さの変化がなく、空間的な仕掛けがなく、中心性が曖昧な場合、住まいに求心性がなく、五感への刺激情報が少なく、単調な暮らしになりそうです。

■まずは集まること
 1960年頃までは、食が生活の中心で、囲炉裏やかまどの回りに皆が集まっていました。その後テレビを見ると言う娯楽が入り込み、さらに勉強・教育という時間が、そして個人的な趣味や健康志向が入り込んできました。家族みんなの時間と個人の時間がはっきりしてきました。
 多用な変化のある場に、家族で・一人で、楽しいこと・嬉しいこと・快を感じることが脳の成長には好ましいです。乳幼児・子どもには、まず集まって楽しむことです。

■どう楽しみましょうか
 外の自然に触れられる窓際や軒・庭先で食べたりおしゃべりするのは、良さそうです。空の様子、木立・樹陰、草花を見ながら、おやつやお茶を楽しみます。
 炎に関連して、まず小さなころから台所のお手伝いをさせます。ガスコンロからIHへ替わってきていますが、それでも熱や蒸気を傍で体験していくのはいいことです。
 直火については、後設置も可能な薪ストーブやペレット・ストーブを導入して囲みます。炎の揺らぎや木が弾ける音や開き時の匂いを感じます。庭でバーベキューをすれば、炎とお手伝いがプラスされます。匂いがたち、煙が樹幹に立ち上げる様子を見れます。
 炉を組み込んだ食卓は、小型の囲炉裏で、わいわい楽しめます。

 照明は、天井直付け器具を避けます。効率的な一様な明るさではなく、陰影をつくる温かみのある灯りにします。ダウンライト、ブラケット、間接照明を多用します。フロアライフを採り込めば、幾分でも暗闇が浮かび上がり、親密な空間になります。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング