省エネ住宅|屋根・天井断熱の方法

屋根は、防雨・防雪・防水、防風、防火など住宅の強度・耐久性に強く関係しす。優れた温熱環境をつくる上で、屋根面での断熱性・気密性が大事です。創エネの面では、温水パネルや太陽光発電パネルの設置場所にもなります。そして住宅を印象付け、街の風景の大きな要素になる屋根の形や素材は重要です。
屋根と2階天井をつくるとき、従来は無視されてきた水平耐力を検討する必要が出てきました。少し前までは、小屋火打ちと小屋筋交いで耐力あり、としてきました。今では小屋水平面や屋根面で構造材と構造用パネルを一体化して強度を確保する傾向にあります。1階床で土台-大引、2階床で桁・梁-小梁に合板を直接に固定する(根太レス工法)のと同様に、屋根面や小屋水平面の一部に適用します。大きな水平耐力を持ちます。
屋根・天井断熱の方法は、小屋裏をどう活かすかにより、断熱・気密と水平耐力の採り方が違ってきます。

■屋根裏・小屋空間は、外部か内部か
外部と内部の境は、外壁と屋根ですね、普通には。では、屋根と平天井の間の空間は何でしょうか。外部と部屋の緩衝空間で、暑さ・寒さを和らげてくれます。風を通せば熱を逃し、閉じれば大きな空気の保温効果が期待できます。民家の厚い茅葺の屋根は、遮熱と保温に有効でした。
屋根の裏はもともとオープンで屋内の一部でした。囲炉裏・かまどの煤・燃えカス、萱や瓦下地の土が時折落ちてくるのを避けるのと、小屋のアラを隠す新たな化粧屋根を設けるために天井が登場しました。今日、屋根下地に土はなく、直火の燃えカスがなくなり、天井はすっきり感をもたらすまったくの化粧になっています。屋根裏構造を見せる造りにすれば、水平天井は不要になり、2階は大きな空間になります。
屋根裏・小屋空間は内部で、屋根面を断熱・気密境界とするのが理にかなっています。

■屋根断熱と天井断熱
壁に比べ屋根・小屋の断熱は、材の厚みを大きくすることができます。屋根面で外張り断熱に相当し、小屋・天井裏は充填断熱に当たります。
3つの断熱・気密のやり方をあげます。

① 外張り屋根断熱
屋根下地の構造用(化粧)合板の上に、防湿気密シートを敷いて板状の断熱を置きます。その上に通気層をとって屋根を葺きます。断熱材の厚さは、母屋サイズの105~120まで採れます。屋内は、登り梁と化粧合板をそのまま現しか、化粧の斜め天井を張ります。

断熱材をネオマフォーム t=105 とすれば、熱貫流率U=0.1779(熱橋無視)です。壁の「外張り+充填付加断熱」以上の性能になります。

② 内断熱-平天井断熱
水平な2階(平屋なら1階)天井の上に、断熱材を載せます。空間はたっぷりありますので、断熱材厚さを十分確保できます。安い材料が向いています。グラスウールやロックウールを敷きます。野縁・野縁受といった天井下地の上に隙間なく敷き込みます。野縁の下から防湿気密シートを貼ります。上向きの根気のいる作業です。天井点検口や配線・埋め込み照明器具回り等の気密には、配慮が要ります。
小屋裏は若干の暑さ・寒さの緩衝帯となりますが、外部扱いです。空間がもったいないですね。小屋裏収納やロフトの設置は可能ですが、断熱・気密の工夫が要ります。

断熱材をグラスウール10kg t=200 とすれば、熱貫流率U=0.2347です。高性能グラスウール20kg t=200 とすれば、熱貫流率U=0.1674です。気密性が確保できれば、経済的な方法です。窓など断熱的に弱点な窓をカバーできそうです。

③ 内断熱-斜め天井断熱
高い天井を確保したり屋根裏空間を有効利用するのに、斜め天井があります。屋根下地の下に断熱層を設けた上で天井を張ります。平天井より手間がかかります。
気密をどこで確保するか、材料によって違います。グラスウール・ロックウールなら平天井と同様に仕上げボード上に気密シートを張ります。高密吹付けウレタンフォームなら気密層を兼ねて不要で、作業性に優れます。セルローズファイバー・羊毛やパーフェクトバリアは屋根下地合板の上に気密シートをはります。セルローズファイバー・羊毛の吸放性や保温性を活かすためです。

断熱材を高密吹付けウレタンフォームt=200 とすれば、熱貫流率U=0.1609です。セルローズファイバー t=200 とすれば、熱貫流率U=0.1875です。パーフェクトバリア t=200 とすれば、熱貫流率U=0.1654です。但し壁の熱貫流率で指摘したように、高密吹付けウレタンフォームの使用は勧めません。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング