省エネ住宅|窓の断熱性

 最近の新築住宅を見ていると、外観で気になることがあります。
 ローコスト狙いでしょうが、庇の出が小さく、もしくはありません。軒らしきものは減っていて、物干しをどうするのか、と思います。
 もう一つ、開口部が小さくなっています。高断熱高気密化と24時間換気のせいでしょうか。窓の数と大きさは、減っています。窓は断熱的には一番の弱点ですから、小さいほど断熱性能があがります。開け閉めが少なくなったのか、嵌め殺し小窓が増えている感じです。陽射しが入って、明るく、風通しのいい住まいが良し、としてきた従来の造りが妙に性能頼りになってきています。断熱気密的に閉じるとともに、開放性も重要です。
 開口部は、自然との関りと社会の窓です。窓の断熱性能をみます。

■窓の 枠材・ガラスと断熱・防火性能
 窓は、窓枠=サッシとガラスから成ります。住宅用窓枠の材は、断熱性の高いものから、木・樹脂・アルミ樹脂(外部がアルミ、内部が樹脂)・アルミがあります。価格は、順に安いです。ここで問題になるのは、窓の防火性能です。防火地域・準防火地域では第一種住居専用地域を除けば、延焼の恐れのある外壁には防火設備が要求され防火戸にしなければなりません。ここでは窓枠には、防火塗料処理の木製、アルミ樹脂製、アルミ製が対象になります。
 ガラスは透明と型があり、防火戸には網入りガラスが要求されます。断熱性能は、単層・複層(ペア)・三層(トリプル)ガラスと順に高くなります。ガラスの厚み・中空層の気体の厚みによっても、断熱性能は微妙に変わります。中空層は、ほぼ真空、クリプトンガス、アルゴンガス、乾燥空気があり、順に性能は落ちます。、

 ここで熱の伝わり方の復讐です。伝導、対流、輻射(放射)の3つがあります。断熱は、熱伝導率が低い材料を組み合わせて性能をあげます。窓では、ガラスと中空層で内外温度差の伝導を遮断します。対流は複層ガラスの中空層でおきますが、気体層が狭い場合(約10mm程度)では、発生しません。
 もう一つの輻射・放射は、太陽の熱線を遮断するか採り込むかで、冷暖房エネルギーが変わります。ガラス表面に低放射率の金属コーティングをしたLow-Eがあります。複層ガラスの外側一枚を、コーティング面を内側にして使います(Low-E=Low Emissivity=低放射)。すると熱線=赤外線(近赤外線と遠赤外線)の8割近く熱移動をカットします。これを日射遮断型とよびます。内側一枚に使えば、日射取得型=断熱型と呼びます。日射については、日射熱取得率ηで扱います。

■窓の断熱性=熱貫流率U
 H28改正省エネルギー基準の解説での仕様値は、アルミ樹脂枠で以下になります。
  複層(A6以上10未満)・・・・・・・ 4.07
  複層(A10以上)・・・・・・・・・・3.49
  Low-E複層(A5以上A10未満)・・・・3.49
  Low-E複層(A10以上)・・・・・・・2.33

 壁や屋根の熱橋となる柱や母屋の熱貫流率Uは、幅120で0.8197、幅105で0.9132です。窓の熱貫流率が大きいのがはっきりわかります。地域区分5・6の外皮平均熱貫流率Uが0.87以下を求められています。窓は、断熱性の面では弱点です。
 窓面積を大きくとればとるほど、外皮性能基準UAは不利になります。新築住宅の窓の数・大きさが減少傾向にある理由です。

 窓から入る太陽光は、とても暮らしに重要です。暖かさをもたらすだけではあります。紫外線は、住宅内を菌・カビを抑えます。広いまどからもたらす外の景色や変化は、脳に刺激となります。窓は必要にして十分大きく採り、他で熱貫流率を下げます。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング