子育て住宅|ファミリービジネスー家族経営

 2019年暮れのことです。夏に亡くなられた造園家の喪中葉書が届き、ご挨拶に伺いました。住宅の庭造りの相談等で伺う話は、本題を外れることが普通でした。進行中のプロジェクトや現在の関心ごとを、篤く実直で飾りけなくほぼ一方的に語っていかれました。ご家族のことは、フロリダ州キーウェスト訪問時のことが印象的でした。ご自宅は庭園用樹木
産地で有名な稲沢市にあり、実生の木が目立つ雑木林のなかにあります。一角にオフィスがあり、裏には借地を含め庭木が育てられています。庭木に関係する家に育ったとはいえ、造園家としては初代で、寝る時間を惜しんで猛勉強されていたようです。
 ご家庭での様子で驚きをもって感心したのは、夕食時やその後、庭造りをずっと語ってみえてたことです。生活の中心が造園にあったということですが、難しい内容もあったでしょう。お子さんは、何となくわかったし、面白かった、と回想されます。芝生の庭が木立で埋め尽くす姿をずっと共に過ごされました。娘さんも息子さんも自分の道を進まれますが、今では造園に関わり、息子さんは跡を継ぐため東京から戻ってみえます。造園自体が魅力的なのと父親の語りが良かったのでしょう。
 私は建築・住宅設計に悶々とし、関係分野を漁り、その時々の答えを出してきました。時々の思いやプロセスを家庭で語ることは、まずありませんでした。家庭での話題には難しすぎるという先入観があったのです。優しく語れなきゃ、ホンモノじゃなかったのかも知れません。

 法人・会社組織ではなくても、実態として家族経営の業種は多いです。個人経営です。身近なファミリービジネスといえば、家族総出で作業する農業(林家・漁家)や商店や家内工業でした。規模拡大・大量生産&販売・機械化などで企業化の傾向にあり、特化するか兼業化か店じまいするかです。仕事場が住まいに含まれたいた形は、住まいが独立する形になってきています。
 また何代も続く職種に、医師・医院があります。資格取得が要りますが、我が家のビジネスは医業だ、という声が聞こえそうです。友人の医師が、安定した間違いない職人として子どもたちを医師にした、と言ってました。同様に、弁護士・会計士・税理士も親の職業を継ぐケースがあります。教師も親をみて、という場合も聞きます。すると、国家公務員・地方公務員もあります。さらに、大企業サラリーマンもあります。社会的な地位・高収入・安定的な職業なら、親しみもあって親の職業をめざすことは多いでしょう。家庭で親の仕事に対する篤い思いがことあるごとに語られれば、子どもには大きな指標になります。安定を求め守りの姿勢ではなく、より高みをめざすなら、乳幼児からの住まいと住環境がとても大事になります。

脇田 幸三

建築家 株式会社綜設計代表
岐阜市生れ 名古屋市在住
1989年11月綜設計設立
主に住宅・マンション・医院を設計
名古屋工業大学大学院修了
テーマ:“大きな人を育て、大きな人生を歩む”住まい
趣味:読書、朝のランニング